Road to Rebirth

Through life and death, a chainless soul, with courage to endure !

「その科学があなたを変える」は本当に変われる本だった。

リチャード・ワイズマン博士の「その科学があなたを変える」を

読んでみました。

リチャード・ワイズマン博士はベストセラー「運のいい人、悪い人」で有名な

英国ハートフォードシャー大学の教授で心理学者です。

 

その科学があなたを変える

その科学があなたを変える

 

 この本の原題は”Rip It Up"「破ってみよう」です。

何を「破る」のかというと、これまで当たり前とされてきた常識や習慣など。

常識や習慣を破って物事を新たな目で見直すためには、これまで一度も経験して

いない行動をあえてやってみるのが何より効果的だと主張されています。

この本を読み進めると、時々ページを実際に破りとるような課題まであり、

突飛な行動をあえて提案しています。

 

例えば、常識では人は幸せを感じると笑い、怖さを感じると逃げると考えられて

います。

しかし、その反対に「人は笑うと、幸せを感じ」「逃げるから怖くなる」のも

事実だと思います。人の気持ちと行動は直結しており、ある感情をあたかも

体験しているかのように行動すると、気分が変わる。と、十九世紀に心理学者で

哲学者のウィリアム・ジェームズは考えました。

その理論をワイズマン博士は「アズイフの法則」と名付け、人の様々な行動面に

押し広げました。

例えば、自信を持ちたい時は「自分にすでに自信があるかのように」行動すれば

実際にその気持ちが生まれる。

行動の仕方が、感情や意志の力や、物事に対する見方を作り出す。

そんな事実を数々の科学的データとともに紹介してあります。

 

私が特に参考になったのが、「うつは行動の仕方で治る」の下り。

「アズイフの法則」が顔の表情と感情の関係において、

笑顔を作ると人の気分が明るくなることを実証したことから

顔の表情とうつ病の間にも同様の関係があると発見されました。

この本に紹介されている「行動活性化療法」はうつを引き起こす

問題行動を認識し、どう改めるべきか目標設定をするというものです。

ここで大事なのはあくまで行動を変えることで、気分には注目しないことです。

この本には簡単なエクササイズが載せてあり、気楽に取り組めます。

 

うつに限らずこの本には、愛を獲得するにはとか、喫煙や肥満などのマイナスの

習慣から抜け出すにはとか、人と絆を結ぶためにはとか、老化を防ぐためには

などの気になるテーマがたくさん扱われており、それぞれに科学的な実験データや

具体例がたくさん紹介されています。

そしてこの本のいいところは読んで知識を蓄えるだけでなく、実際に試して

その効果を実感できる点です。

 

この本は初出が2013年と少し時間が立っていますが、その内容は大いに参考に

なるものばかりです。

科学系読物、特に心理学系がお好きな方や上記テーマで気になるひとには

うってつけの書物だと思います。